生前贈与
贈与とは
贈与は財産を生前に引き継ぎます。生きている内に自己の思う人に財産を分けておくことです。
民法第546条において贈与とは、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定しています。

贈与の条件は次の通りです。
- 贈与者と受贈者の両者の意思の合致
- 税務上は文書で証拠を残す(契約書を作成する)
- 実行「預金通帳への振込・不動産の名義変更・株式の名義書き換え等」
暦年課税贈与は1月1日から12月31日までの一年間に贈与を受けた財産が贈与税の基礎控除額110万円以下ですと贈与税はかかりません。
贈与のメリット
相続税が課税される場合税率は最低が10%です。10%課税される財産を生前に300万円贈与しますと、贈与税の基礎控除110万円がありますのでこれを差し引くと190万円が贈与税の課税対象です。贈与税は最初10%の税率ですから300万円贈与で19万円の贈与税です。実質税率6.3%で、相続税の10%よりも低い税額で贈与が出来ます。但し相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に加算されます。
贈与税の課税方式
暦年課税贈与
暦年課税贈与には一年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与財産額を合計します。合計額が贈与税の基礎控除額110万円以下であれば贈与税は課税されません。
贈与財産額が基礎控除額を超えると次の速算表で計算した贈与税が課税されます。
暦年課税贈与税の速算表(平成27年1月1日以後)
基礎控除後の課税価格 | 一般の贈与 | 20歳以上の者への直系尊属からの贈与 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 10% |
200万円超300万円以下 | 15%-10万円 | 15%-10万円 |
300万円超400万円以下 | 20%-25万円 | |
400万円超600万円以下 | 30%-65万円 | 20%-30万円 |
600万円超1,000万円以下 | 40%-125万円 | 30%-90万円 |
1,000万円超1,500万円以下 | 45%-175万円 | 40%-190万円 |
1,500万円超3,000万円以下 | 50%-250万円 | 45%-265万円 |
3,000万円超4,500万円以下 | 55%-400万円 | 50%-415万円 |
4,500万円超 | 55%-640万円 |
相続時精算課税
この制度は贈与の年1月1日時点で60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子や孫に贈与があっても2,500万円まではその贈与時に贈与税を課さない制度です。
この制度を選択すると暦年課税には変更できません。贈与があった翌年に届け出が必要です。相続の時に相続財産に持ち戻して相続税の計算となり、税が精算されます。
2,500万円は、贈与する父母または祖父母で計算します。贈与は一年間でなくとも数年かかっても2,500万円まではとりあえず贈与税はかかりません。贈与財産が2,500万円を超えると超える金額の20%が贈与税です。この税は相続時に精算されます。
贈与税の非課税制度
贈与税には以下のような非課税となる項目があります。
住宅取得等資金の贈与税の非課税
直系尊属である父母・祖父母等から住宅取得資金として贈与を受けた場合で以下の要件を満たす場合に、一定の金額が非課税となる制度です。
主な適応条件は以下の通りです。
- 住宅の取得に充てるための金銭の贈与を受け、実際にその金銭を住宅の取得資金に充てていること
- 贈与を受ける者がその年の1月1日において20歳以上であること
- 贈与の翌年3月15日までに住宅の引き渡しを受け、同日までに居住していること、または居住することが確実であると見込まれていること
- 建物の登記簿面積が50㎡以上240㎡以下であること
- 中古住宅の場合は建物の築年数が、マンション等耐火建築物なら25年以内、木造等耐火建築物以外なら20年以内等であること
- 贈与の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行っていること
- 贈与を受ける者の贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
教育資金の一括贈与の非課税
受贈者(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てるために、その直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,500万円(学校等以外については、500万円限度)までの金額に相当する部分の価額については、贈与税を課さないこととする。【平成25年1月1日~平成31年3月31日まで】
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
20歳以上50歳未満の子や孫(受贈者)の結婚・子育て資金の支払いに充てるために、親や祖父母(贈与者)がお金を出して銀行や信託銀行などに信託などをした場合には、受贈者1人につき、1,000万円(このうち、結婚費用については300万円を限度)までは贈与税を非課税とする。【平成27年4月1日~平成31年3月31日までの期間に限定】
おしどり贈与で配偶者に自宅贈与の非課税
「おしどり贈与」(贈与税の配偶者控除)の制度とは、結婚してから20年以上経った夫婦間で、自宅やその購入資金の贈与があったときは、最高2,000万円までの配偶者控除が認められるという制度です。贈与税の基礎控除が110万円ですので、他の贈与がなければ2,110万円まで贈与税がかかりません。夫からでも妻からでも構いません。
居住用不動産そのもの、または居住用不動産取得のための金銭のどちらでも、贈与を受けたものは2,110万円まで贈与税がかかりません。
非課税となる条件は次の通りです。
- 婚姻期間(戸籍に入っている期間)が20年以上であること
- 贈与財産が居住用不動産、または居住用不動産を取得する金銭であること
- 贈与された配偶者が、翌年3月15日まで居住しその後も引き続き居住の用に供する見込みであること
- 土地または借地権のみの贈与の場合、家屋の所有者が配偶者または同居している親族であること
- 贈与金額が非課税金額(2,000万円)以下でもこの特例を受ける旨の申告を行うこと
相続開始前3年以内贈与は骨折り損
相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を行った場合には、相続財産に持ち戻されてしまいます。
相続時前3年以内の贈与財産は相続税の節税とはなりません。しかし資産分割にはなっています。
一世代超えた孫への贈与
孫への贈与は3年以内の加算はない
3年以内の贈与財産が相続財産には加算される人は、「相続または遺贈により財産を取得した人」となります。
代襲相続人である孫を除き、孫は相続権がないため相続時に財産を取得しなければ、相続開始前3年以内の贈与財産の相続財産への加算はありません。
料金
暦年課税贈与税の報酬(別途消費税)
贈与金額 | 財産の種類 | 報酬額 |
---|---|---|
300万円まで | 現金・預金 | 3万円 |
1,000万円まで | 現金・預金 | 5万円 |
相続時精算課税贈与税の報酬(別途消費税)
贈与金額 | 財産の種類 | 報酬額 |
---|---|---|
1,000万円まで | 現金・預金 | 10万円 |
2,500万円まで | 現金・預金 | 15万円 |
2,500万円まで | 不動産 | 15万円+土地評価 |
贈与には上記のように様々な複雑な制度があります。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談下さい。
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